Michel Legrand -Aix en Provence-

ご無沙汰です!お元気ですか。私の方は、年末年始にイタリアで食い倒れてきた影響で、すっかり丸みを帯びております。 

久々にイタリアで見聞きしたことでも書いてみようかと思っていたのですが、のっぴきならない事情で予定変更です。

 さて、エクスには、毎日午前中にマルシェが出る広場があります。その広場の隅の方にはカフェが何軒か並んでおりまして、その広場の一番角にあるカフェが私の行きつけのカフェということになっています。最初のころに、何度か連続でカフェオレを頼んでいたら、注文しなくても勝手にカフェオレが出てくるようになりました。 今日は普通のコーヒーがよかったんだけど、という日も無きにしもあらずですが、得意顔のウエイターに言えるはずもなく。

 

さて、今日もマルシェ帰りにそのカフェに立ち寄りますと、La Provenceという地元紙がテーブルに畳んで置いてありました。何となく開いてみると、1面に信じられない見出しが。

 

 « 天才ミシェル・ルグラン逝去 »f:id:fukubato:20190128083548j:plain

 

文字通り、息を飲み、固まること2-3秒。

 

 

私は、去年の大学の授業で、ヌーベル・バーグの映画をテーマにした授業を取り、彼が音楽を担当した映画を何本か見て、遅ればせながらミシェル・ルグランのにわか大ファンになったばかり。そして、Wikipediaで彼のことを調べ、「85歳を超えてるけど元気そうだな」などと安堵していた矢先のこの訃報。そんなわけで、フランス人の平均よりも若干大きく驚いた部類に入るかと思います。

 

 私がミシェル・ルグランのファンになったのは、アニエス・ヴァルダの «5時から7時までのクレオ»という映画のあるシーンでした。この映画は、癌の検査を受けたばかりのクレオという歌手が、《自分は絶対癌だ》と確信を抱きながら、医者から結果を聞くことになっている時間(19時)まで、絶望した気持ちでパリをふらつく様子をドキュメンタリーっぽく見せた映画です。この作品中で、ボブという若い作曲家が、クレオに即興でピアノを弾きながら新曲を提案していくシーンがあるんですが、その中のJe t'ai menti〜という歌を披露するシーンが、とても短いのですが、とても印象的だったんです。そのシーンがこちら。

 


cleo 5 to 7

 

ちなみに、ボブ役を演じているのは、ピアノが上手い俳優さんかと思いきや、若かりし頃のミシェル・ルグラン本人。演技も上手いし、何気にイケメンです。

それにしても、途中で止めたクレオが恨めしいといったらありゃしない。

悲しいですが、前を向いて生きていくしかありません。

そのためにも、まずは寝るとします。