Foie Gras - Barcelona -

大学の授業は、来週から1週間お休みです。というわけで、今日から1週間の予定で、バルセロナに来ました。マルセイユの空港からは、たった1時間のフライトです。

バルセロナは今回が2回目。10年近く前に初めてバルセロナに来た際に、海辺近くの小道で、人が道にはみ出るほどやたら混雑しているバルを見かけました。これは何事かと思い、店に入ってみたところ、朝の銀座線のような混みっぷりで、とにかくカウンターでビールを1つ注文をするだけでも、かなりの根気と勇気がいるといった状況でした。言葉も勝手も分からずにまごまごしていると、その辺にいたおじさんが注文を手伝ってくれた上に、自分の友人たちと座っていた奥の小さなテーブルに座らせてくれ、仲間に入れてくれました。何を話したのか覚えていませんが、とても感じのいい人たちで、大いに盛り上がり、全員でぐいぐいビールを飲み、次から次に料理を食べ、楽しく過ごした記憶のあるバルです。

昔のことな上に、かなり酔っ払っていたので、記憶がぼやっとしていますが、そこで食べたフォアグラが猛烈に美味しかったことだけは鮮明に記憶に残っています。私は、フォアグラのパテが苦手だったので、フォアグラ嫌いと自覚していたのですが、あのバルで食べたフォアグラは、生のフォアグラのふわ・やわ〜っとしたソテーに、玉ねぎのジャムのようなものが添えられていて・・これが動物愛護精神も吹っ飛ぶ美味しさだったのです。

以来、フォアグラと聞くたびに、あのバルで食べたファアグラを思い出し、フォアグラと聞かなくても、あのバルで食べたフォアグラを思い出し・・といった具合にこの10年を過ごしてきました。

店名も場所も忘れてしまったので、何となく再訪を諦めていましたが、あのバルがある人生とない人生とでは大違いだと思い、あのバルを探そうと決めました。海の近くという記憶を頼りに、ローラー作戦で飲食店を検索し、店内写真を記憶と照合していった結果・・・・ついにあのバルが見つかったのです!

というわけで、今回は、昼夜このバルで飲み食いするためにバルセロナにやってきました。サグラダファミリアグエル公園も、このバルの料理たちがこなれるまでの暇つぶしに過ぎません。

一介のバルの軍門に下るとは、ガウディもびっくりでしょうが、こんなことのためにバルセロナまで来るとは、私自身も結構驚いています。

Michel Legrand -Aix en Provence-

ご無沙汰です!お元気ですか。私の方は、年末年始にイタリアで食い倒れてきた影響で、すっかり丸みを帯びております。 

久々にイタリアで見聞きしたことでも書いてみようかと思っていたのですが、のっぴきならない事情で予定変更です。

 さて、エクスには、毎日午前中にマルシェが出る広場があります。その広場の隅の方にはカフェが何軒か並んでおりまして、その広場の一番角にあるカフェが私の行きつけのカフェということになっています。最初のころに、何度か連続でカフェオレを頼んでいたら、注文しなくても勝手にカフェオレが出てくるようになりました。 今日は普通のコーヒーがよかったんだけど、という日も無きにしもあらずですが、得意顔のウエイターに言えるはずもなく。

 

さて、今日もマルシェ帰りにそのカフェに立ち寄りますと、La Provenceという地元紙がテーブルに畳んで置いてありました。何となく開いてみると、1面に信じられない見出しが。

 

 « 天才ミシェル・ルグラン逝去 »f:id:fukubato:20190128083548j:plain

 

文字通り、息を飲み、固まること2-3秒。

 

 

私は、去年の大学の授業で、ヌーベル・バーグの映画をテーマにした授業を取り、彼が音楽を担当した映画を何本か見て、遅ればせながらミシェル・ルグランのにわか大ファンになったばかり。そして、Wikipediaで彼のことを調べ、「85歳を超えてるけど元気そうだな」などと安堵していた矢先のこの訃報。そんなわけで、フランス人の平均よりも若干大きく驚いた部類に入るかと思います。

 

 私がミシェル・ルグランのファンになったのは、アニエス・ヴァルダの «5時から7時までのクレオ»という映画のあるシーンでした。この映画は、癌の検査を受けたばかりのクレオという歌手が、《自分は絶対癌だ》と確信を抱きながら、医者から結果を聞くことになっている時間(19時)まで、絶望した気持ちでパリをふらつく様子をドキュメンタリーっぽく見せた映画です。この作品中で、ボブという若い作曲家が、クレオに即興でピアノを弾きながら新曲を提案していくシーンがあるんですが、その中のJe t'ai menti〜という歌を披露するシーンが、とても短いのですが、とても印象的だったんです。そのシーンがこちら。

 


cleo 5 to 7

 

ちなみに、ボブ役を演じているのは、ピアノが上手い俳優さんかと思いきや、若かりし頃のミシェル・ルグラン本人。演技も上手いし、何気にイケメンです。

それにしても、途中で止めたクレオが恨めしいといったらありゃしない。

悲しいですが、前を向いて生きていくしかありません。

そのためにも、まずは寝るとします。

Che voui dire? - Milan

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そう、だから人生は侮れない、ヴァンヌのチームの新米応援係さん!新しい経験がほころびかけた友達親子の絆を深めることに一役かったわけで、素晴らしいわ!molto brava!

今月初めミラノで伝統的なリストランテ数軒に行きました。街なかのとある一軒は、老舗のザ・ミラノの下町老舗食堂を期待して行ったわけですが、入店した際に英語で会話が始まったので、あー、と軽い違和感が。更に慣れた感じで英語だけののメニューが渡され、むむ!と違和感センサーが本格的に作動しました。周りのテーブルからはやけに英語が聞こえてくるではないですか。実際パスタや肉料理、決して悪くはないのだけど、ちょっと指向性の弱いまったりとしたお味。そのお店があるエリア、どうもエクスパッドが多い地域なのかもしれず、客層もエクスパッドの欧米人と観光客が多いようでした。客が店を作るってこういうことなのかな。

別の日にトスカーナ料理を出す老舗の店にも行きました。というのも、フィレンツェ人たる私のイタリア語の先生が、常々フィレンツェに帰ると必ずビステッカを食べると言っていて、日本のステーキよりすごく大きくて美味しくて素晴らしいのだ!と夢見るように自慢していたことを思い出し、検証がてら行ってみることに。

このお店、まさに私好みで、年配の笑わないベテランカメリエーレは白いジャケットをきっちり着こなし、挨拶から徹頭徹尾イタリア語しか話さないし、メニューもイタリア語のみ。壁にはきちんと絵画がかかっており、テーブルクロスは地厚で色は白。カラトリーも料理にぴったり。ビステッカは写真のとおり、ボリューム、火加減、味、見た目、どれも申し分なく、地元サッカーチーム(つまりそれはACミランだけど)が時々食事にやってくるそうで、心底納得。カメリエーレ氏曰く、キノコのシーズンが始まったとのこと。スライスしたキノコとセロリ、パルメザンチーズをオリーブオイルと塩で和えたサラダが美味しかったです。私はこういうウソがつけない料理をこよなく好むタイプ。

最後にデザートを頼もうとして、Avete un amaretto con pesca?(桃のアマレットはありますか?)と聞くべきところ、最後のpesca (桃)を間違えてpesce(魚)と言ってしまい、それまでピクリとも笑わなかったベテランカメリエーレ氏がChe??(え、何?)と言って、無言でしばらく考えて、もしかしてpesca のこと?と分かった後に、笑顔になり、デザートを運んできた時も私に対して桃を指して、さぁこれはイタリア語で何と言うんだ?ぺー、ぺぇー、ほれ、と促すので、覚えたばかりのペスカというと、そのカメリエーレは、さも望みは叶えられたり、といったような満足気な表情で頷くのでした。

こうして私のへっぽこイタリア語がイタリア人に軽い動揺を抱かせ、困惑させつつミラノでの晩夏の1日は過ぎるのでした。

追伸

私が乗りたい車は、映画taxi に登場する車!ninjaって叫んでみたいね。笑

Rugby - Aix en Provence

ボンジュール!ご機嫌いかがですか。私は、先日、生まれて初めてラグビー観戦をしてきましたよ。ラグビーの試合よりも、ドラマは観戦までの紆余曲折にありました。

 数日前、フランス人の友人が、「父とラグビー見に行くんだけど一緒にどうだい」と誘ってくれたんです。なんでも、前日に親子ゲンカをしたらしく、言いすぎたと思ったパパが、お詫びに誘ってくれたのだそう。そんなイベントに誘ってくれるのは本当にありがたいのですが、私はラグビーのルールもよく知りませんし、色々やりたいこともあるし。あまり乗り気がしないなぁ・・という訳でやんわりと断ったものの、「未知の体験はいつでもいいものだ」などと言いくるめられ、結局参加する運びとなりました。

 試合当日の夜。ラグビー場周辺の半径数百メートルでは、フランス人の路駐テクが火を吹いていました。歩道のプラタナスプラタナスの間にまで車が押し込まれ、大会の盛況ぶりが伺われます。友人・友人パパ・私の三人は、30分ほど遅刻してラグビー場に到着。

 すると、この大混雑、そして、遅刻組であるという事実を気にするそぶりもなく、パパは平然とチケット売り場の方へと歩き出しました。私が、《チケット今から買うんかい!》と思ったのは言うまでもありません。売り切れていたらどうするつもりなのでしょう。友人も、これには怒りをあらわにしていましたが、「事前に買った方が安いのに!」と、怒るポイントは少し違っているようでした。そんなチケット売場の窓口には、《満席》《窓口は閉まりました》の張り紙が・・・。

試合を楽しみにしていたこの不憫な親子は、がっくり肩を落としていました。私の方は、特に興味のなかった競技を見ずに済むというちょっとした棚ぼた感、わざわざここまで来たのにいう徒労感、そして段取りの悪さに対する不満などが入り混じった気持ちで、トボトボと駐車場に向かいました。

すると、道すがら、向こうから歩いて来たガタイのいいお兄さん(ラガーマンと思われる)が「チケット売り場はどこですか」と聞いて来ました。友人が「あっちだけど、チケットは売り切れだったよ」というと、「招待枠だから大丈夫」と爽やかに去って行きました。すると彼は、くるりと振り向き、こう言ったのです。

「招待枠、僕も含めて3人分あるけど?」

 ・・・3人の間で、色々な思惑が一気に複雑に絡み合います。が、数秒後、友人は「でも僕たち3人だから、いいよ」と断ってしまいました。事実、状況的に、それ以外の回答はないでしょう。しかし、日本人ぶりを遺憾なく発揮し、空気を読んだ私は、「私はタクシーで帰るから、2人でいきなよ」と申し出たのです。友人は「それは悪い」と渋りましたが、本心では試合を見たい友人と、本当に別に見なくていいと思っている私の押し問答。私のほうが強いのは当然です。友人は、結局「そこまで言うなら」と折れ、猛ダッシュでさっきのお兄さんを探しにいきました。そんな友人の後ろ姿を見ながら、私は無益に消えて行くタクシー代のことを考えていました。

無事2人分のチケットを確保したところで、1人でタクシーで帰らせるのは不憫だと思った友人が、「試合は後半だけ見られればいいから」、と家まで車で送ってくれることになりました。我々が駐車場の方へ歩き始めたその時、ちょっと怪しげなおっさんが、チケットらしきものをもってポツンと道に立っていました。友人が「それ・・・・チケットですか?」と聞くと、おっさんは「ウイ。友達が1人これなくなったから、チケットが余ったんだよ。」「それは・・・売っているですか?」「いや、誰かにあげようと思って」。

まさか、このいかにもダフ屋風のおっさんがそんな清らかな心でここに立っていたとは!健気に身を引いた(ように見える)私のために神様が使わした天使のようではないですか。

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そんなわけで、あれよあれよと3人そろってラグビー観戦。しかも、全員無料!まさか、こんな大どんでん返しが待っていようとは。

さて、肝心の試合は《エクスvsヴァンヌ》。当然、本来はエクソワとして地元チームを応援しに来たのですが、チケットをくれたお兄さんがヴァンヌのチーム関係者だったことがわかったので、完全アウェーの中、ひっそりとヴァンヌを応援することになった私たちでした。本当に、人生は最後までどうなるかわかったもんじゃないですねぇ。

Panthéon - Paris

こんにちは♪パリに数日滞在し、ついにエクサン・プロバンスに戻ってきました。

帰るやいなや、新居への引っ越しがあったもので、ここ数日はバタついておりました。去年は1年間で3回も引越しをしましたが、4代目の我が家はエクス中でこんなに素敵な家はないんじゃないかというくらい気に入っています!

さて、パリで見聞きした話をいくつかご紹介しますね。ある日、サン・ルイ島から左岸に渡ると、パンテオンのドームが見えてきたので、そのドームの方向に歩くことにしたときのこと。パンテオン目前というところで、カーブした小さな石畳の上り坂に出たんです。

f:id:fukubato:20180905210231j:plain何故かよく知っている景色だったので、よくよく考えてみたところ、映画《ミッドナイト・イン・パリ》の、あの「車が迎えに来るシーン」で使われている場所だったんです。この映画、もうご覧になりましたか?主人公が、夜に教会の階段に腰掛けていると、夜中の12時に不思議な車が通りかかり、その車に乗ると、ピカソやヘミングウエイが生きていた時代のパリにタイムスリップしてしまう・・というファンタジーで、大好きな映画です(特にダリ役のエイドリアン・ブロディがハマり役で最高)。そして、そんなミラクルが起こる階段こそが、このサン・テティエンヌ・デュ・モン教会の階段だったのです。映画ファンならば、この階段に座り、不思議な車が通らないかしらなどと思ってみたりしてしまうに違いありません。《乗ってみたい車》ツートップは、ずばりミッドナイト・イン・パリのアンティークカーと猫バスで決まりでしょう。

パンテオンには、昨年亡くなり、今年7月にパンテオンに合祀された政治家で、フランス人に最も敬愛される女性とも言われる《シモーヌ・ヴェイユの》写真が大きく掲げられ、彼女の足跡がパネルで展示されていました。ユダヤ人だった彼女は、アウシュヴィッツから生還後(驚くべきことに、残酷非道で悪名高いポーランド人のあるカポが、"You are too pretty to die here"といって、比較的環境のよい収容所に移送してくれたのだそう。)、司法試験に合格し、司法官(=裁判官・検察官 f:id:fukubato:20180905210159j:plain)となり、自身の収容所での経験から刑務所の待遇改善等に熱心に取り組んだそうです。もっとも有名なのは、シラク政権の厚生大臣として、大多数を占める男性議員から辛辣な批判を浴びながらも、妊娠人工中絶の合法化を認める法律を成立させたことでしょう。この法律は、彼女の名前から《ヴェイユ法》と呼ばれています。その後も、欧州議会の議長になったり、アカデミー・フランセーズの会員に選出されたりといった異次元級のスーパーウーマンでした。

 アカデミー・フランセーズといえば、くだらなくて個人的に好きなのが《アリコ論争》。ある日、学校の先生から「アカデミー・フランセーズが、今後、《エンドウ豆(les haricots)》を《レ・アリコ》ではなく《レリコ》とリエゾンして発音することを認めた」と聞きました。《リエゾン》とは、本来発音されない単語末尾の子音が、その次の単語冒頭の母音と合体して発音される現象です。ご存知の通り、フランス語では《h》を発音しませんが、同じhでも「子音扱いのh」と「母音扱いのh」が存在するため、hから始まる単語がある場合のリエゾンの要否/可否は、フランス語学習者にとって(そして、フランス人にとっても!)の混乱のもとなのです。さて、問題の《haricot》は、「子音扱いのh」のため、問答無用で《リエゾンなし》となるはず。では、アカデミー・フランセーズはなぜ例外を認めたのか?・・調べてみたところ、《レリコあり説》は、ある新聞が撒いた噂に過ぎないことが分かりました。ネット上にも、《レ・アリコ?》《レザリコ?》と戸惑う書き込みが散見されるなど、アリコは一介の豆ながら、フランコフォンに地味な混乱を巻き起こしているのです。アカデミー・フランセーズもホームページで、御自ら「我々は今でも《レ・アリコ》推しなり」と釘を刺しつつ、ついでに件の新聞を軽くディスっておりました。アカデミー・フランセーズの紳士淑女が「アリコの件、どーする?」と話し合ったかと思うと笑えます。

いやはや、パリはただ歩いているだけでも面白いことに遭遇できますね。モンマルトルの公園で見かけた銅像のモデルになった、壮絶すぎる死を遂げた若い騎士の話もなかなか面白かったので、ぜひご紹介したかったですが・・背後の日差しが強く背中が燃えそうなので、また今度にします。

P.S. グリーンランドの上品なエビちゃんは、この辺ではお見かけしないように思います。エクスは物価が非常に高く、魚介類も高価なので、Picardで冷凍物を買うことが多いという。おいしいエビ、食べたいなぁ〜♪

Hej - Copenhagen

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Hej!! もうパリに到着したのかな? 東京では鮎ご飯とか食べながら久々にcatch upできて良かったよ。フランスでの様子も少し理解出来たし。 コペンハーゲンで最近はまっているのは、グリーンランド産のエビ。歯触りが良いし(決して下品にプリプリしていない)、まろやかな味がディルやピクルス、パンに合って好きな一皿。もしフランスのスーパーでも見つけたらトライしてみてね。 写真は港の再開発エリアに建設されたおしゃれなレジデンス。船でアプローチもできるそう。 Hej hej!